MOX燃料

核燃料

原子力発電の未来を拓く:マイクロ波加熱脱硝法

原子力発電は、地球温暖化対策の切り札として期待されていますが、発電に伴い発生する使用済み燃料の処理は、解決すべき重要な課題として認識されています。使用済み燃料には、発電に利用されなかったウランやプルトニウムが依然として含まれており、これらの貴重な資源を回収し、再び燃料として利用する技術が使用済み燃料再処理です。 この再処理工程では、まず、使用済み燃料を溶解し、核分裂生成物からウランやプルトニウムを分離します。その後、分離されたウランやプルトニウムは、硝酸と反応させて硝酸溶液の形で回収されます。そして、この硝酸溶液から再び燃料として利用できる形に戻す工程が必要となります。 従来の方法では、高温の加熱炉を用いて硝酸溶液を処理していましたが、この方法には、処理に長時間を要する、設備が大規模になるなどの課題がありました。近年、マイクロ波のエネルギーを利用したマイクロ波加熱脱硝法が、従来の方法に代わる革新的な技術として注目されています。マイクロ波加熱脱硝法は、マイクロ波のエネルギーを利用することで、硝酸溶液を効率的に加熱し、短時間で処理することが可能となります。また、必要な設備もコンパクトになるため、処理効率の向上や設備の小型化に大きく貢献することが期待されています。
原子力施設

高速増殖炉のパイオニア:ラプソディー

1967年、フランスに「ラプソディー」と名付けられた実験炉が建設されました。これは、従来の原子炉とは一線を画す、高速増殖炉と呼ばれる新しいタイプの原子炉でした。高速増殖炉は、ウラン資源をより効率的に利用できる可能性を秘めた、当時としてはまさに夢の原子炉であり、世界中で研究開発が進められていました。 ラプソディーは、フランスにおける高速増殖炉開発の道を切り開く、まさに先駆けとなる存在でした。この実験炉では、高速中性子と呼ばれる、従来の原子炉よりも速度の速い中性子を用いて核分裂反応を起こすという、当時としては最先端の技術が採用されていました。そして、ラプソディーでの実験を通して、高速増殖炉の安全性や効率性に関する貴重なデータが収集されました。 ラプソディーで得られた成果は、その後のフランスにおける高速増殖炉開発の礎となり、より大型の実験炉「フェニックス」や実証炉「スーパーフェニックス」の建設へと繋がっていくことになります。ラプソディーは、フランスのみならず、世界の原子力開発の歴史にその名を刻む、重要な実験炉と言えるでしょう。
原子力施設

RIAR: ロシアの原子力研究の中心

- RIARとはRIARは、「ロシア連邦原子炉研究所」の略称であり、ロシアのディミトロフグラードに位置する原子力研究の中枢を担う機関です。1956年の設立以来、原子力技術の最前線において、基礎研究から応用技術開発、そして原子力発電の実用化に至るまで、幅広い分野において多大な貢献を果たしてきました。RIARは、多岐にわたる原子炉や実験設備を擁しており、世界でも有数の原子力研究施設として知られています。ここでは、原子炉の設計や開発、燃料や材料の研究、放射性廃棄物の処理・処分、放射線防護など、原子力技術に関するあらゆる分野の研究開発が行われています。RIARの研究成果は、ロシア国内の原子力発電所の安全性と効率性の向上に大きく貢献してきました。また、国際原子力機関(IAEA)などの国際機関とも積極的に協力し、世界中の原子力技術の発展にも貢献しています。近年では、次世代原子炉の開発や、原子力を医療や工業などの分野へ応用する研究にも力を入れています。RIARは、今後も世界トップレベルの原子力研究機関として、人類の平和と発展に貢献していくことが期待されています。
核燃料

エネルギー資源の有効活用:MOX燃料とは

- MOX燃料混合酸化物燃料MOX燃料とは、混合酸化物燃料の略称で、原子力発電所でウラン燃料と並ぶ核燃料として利用されています。MOX燃料は、ウランとプルトニウムを混ぜ合わせて作られます。プルトニウムは、ウラン燃料が原子炉内で核分裂反応を起こす際に生じる物質です。従来のウラン燃料のみを使う原子力発電所では、使用済み燃料の中にプルトニウムが残ってしまいます。しかし、MOX燃料を利用すれば、このプルトニウムを燃料として再利用することができます。そのため、MOX燃料は、資源の有効活用と放射性廃棄物の低減に貢献する燃料と言えるでしょう。MOX燃料は、ウラン燃料と比べてプルトニウムの割合が多いため、より多くの熱エネルギーを生み出すことができます。また、ウラン燃料と比べて燃焼期間が長いため、燃料交換の頻度を減らすことも可能です。しかし、MOX燃料の製造は、ウラン燃料に比べて複雑でコストがかかるという課題もあります。また、プルトニウムは核兵器の材料となる可能性もあるため、厳重な管理体制が必要となります。このように、MOX燃料は資源の有効活用や放射性廃棄物の低減に貢献する一方、コストや管理体制の面で課題も抱えています。原子力発電の将来を考える上で、MOX燃料のメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。
核燃料

混合転換:核燃料サイクルの要

原子力発電所では、ウランなどの核燃料を使って莫大なエネルギーを生み出しています。この時、核燃料は全て使い切るわけではなく、発電に使用された後でもウランやプルトニウムといった貴重な資源が約95%も残っているのです。この使用後も資源を含む燃料のことを「使用済み核燃料」と呼びます。 使用済み核燃料には資源が多く残されているため、再び燃料として利用することが期待されています。この使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出す技術を「再処理」と言います。再処理では、まず使用済み核燃料を化学処理して、ウランとプルトニウムを他の物質から分離します。そして、分離したウランとプルトニウムを精製して、再び原子炉の燃料として利用できる形にします。 このように、使用済み核燃料を再処理し資源を有効活用することは、資源の乏しい我が国にとって非常に重要です。さらに、再処理を行うことによって、使用済み核燃料の量を減らし、最終的に処分する物の放射能レベルを下げ、保管期間を短縮できるという利点もあります。
核燃料

プルトニウム富化度:原子力発電の重要な指標

- プルトニウム富化度とは原子力発電所では、ウラン燃料を使って電気を作っています。このウラン燃料をより有効に使い、さらに放射性廃棄物を減らすために、ウランとプルトニウムを混ぜた燃料を使う方法が研究されています。この燃料は混合酸化物燃料と呼ばれ、略してMOX燃料とも呼ばれています。 プルトニウム富化度とは、このMOX燃料の中に、どれだけの割合のプルトニウムが含まれているかを示す数値です。 MOX燃料は、ウランとプルトニウムを混ぜて作られますが、その混ぜる割合は、原子炉の種類や運転方法によって異なります。プルトニウム富化度は、燃料全体に対するプルトニウムの重量の割合をパーセント(%)で表します。 例えば、プルトニウム富化度が10%のMOX燃料は、燃料全体の重さに対してプルトニウムが10%含まれていることを示しています。つまり、残りの90%はウランということになります。 プルトニウム富化度は、原子炉の安全性や経済性に大きな影響を与えるため、厳密に管理されています。プルトニウム富化度が高いほど、一度に多くのエネルギーを取り出すことができますが、安全性確保の観点から、適切な値に調整する必要があります。
核燃料

原子力発電におけるプルトニウムスポットとは

原子力発電所では、ウラン燃料だけでなく、プルトニウムとウランを混ぜ合わせた燃料(MOX燃料)も使われています。MOX燃料を作る過程では、プルトニウムとウランを酸化物にして粉末にし、混ぜ合わせる工程があります。しかし、ここでプルトニウムの粉末の粒子が粗いまま燃料を作ってしまうと、原子炉の中で「プルトニウムスポット」と呼ばれる現象が起きることがあります。プルトニウムスポットとは、一体どういう現象なのでしょうか。簡単に言うと、プルトニウムはウランよりも反応しやすい性質を持っています。そのため、プルトニウムの粒子が粗いと、その部分だけ反応が活発になり、局所的に高温になるスポットができてしまうのです。これが「プルトニウムスポット」と呼ばれる現象です。プルトニウムスポットは、原子炉の安全運転に影響を与える可能性があります。スポットは周囲よりも高温になるため、燃料の劣化を早めてしまう可能性があります。また、最悪の場合、燃料の破損に繋がる可能性も懸念されています。このような問題を防ぐため、MOX燃料の製造では、プルトニウムの粉末の粒子の大きさを一定以下にするなど、厳しい品質管理が行われています。原子力発電は、安全性を第一に考え、様々な対策を講じることで成り立っているのです。
核燃料

エネルギー源としてのプルサーマル利用

- プルサーマル利用とは 原子力発電所では、ウラン燃料を使って電気を作っています。ウラン燃料は発電に使われると、そのままではもう電気を作ることができません。しかし、使い終わった燃料の中には、まだエネルギーとして使える貴重な物質が含まれています。その一つがプルトニウムです。 プルサーマル利用とは、この使い終わった燃料から取り出したプルトニウムを、もう一度燃料として利用する技術のことです。プルトニウムはウランとは別の物質ですが、原子力発電所の燃料として使うことができます。 この技術は、資源を有効に活用できるという点で非常に重要です。日本はエネルギー資源の多くを輸入に頼っているため、限られた資源を有効に使うことは、エネルギーの安定供給という観点からも大変重要です。 プルサーマル利用では、主に軽水炉と呼ばれる種類の原子炉でプルトニウムを燃料として使います。軽水炉は現在日本で最も多く稼働している原子炉であり、この技術の導入によって、より効率的にプルトニウムを活用することが可能になります。
核燃料

プルサーマル:エネルギー資源の有効活用

- プルサーマルとは原子力発電所では、ウラン燃料を使って電気を作っています。ウラン燃料は発電に使われると、「使用済み燃料」と呼ばれる状態になります。この使用済み燃料の中には、まだエネルギーを生み出す力を持った物質が含まれており、プルトニウムもその一つです。プルトニウムは、ウラン燃料から再処理という特別な技術で取り出すことができます。そして、この取り出したプルトニウムを、再び原子力発電所の燃料として利用することを「プルサーマル」と呼びます。プルサーマルは、資源の限られた我が国にとって、エネルギーを安定して確保するために非常に大切な技術です。プルトニウムを再利用することで、ウラン資源の節約になるだけでなく、使用済み燃料の量を減らす効果も期待できます。これは、使用済み燃料の処分が課題となっている現在、大きな利点と言えるでしょう。プルサーマルは、燃料の有効利用や環境負荷の低減に貢献する技術として、今後も重要な役割を担っていくと考えられています。
核燃料

原子力発電の要: 高富化度燃料

原子力発電所には、大きく分けて、現在主流となっている軽水炉と、将来の利用が期待される高速炉の二つの種類があります。軽水炉はウラン燃料を使用し、原子核分裂の際に発生する熱エネルギーを利用して発電を行います。一方、高速炉は、軽水炉の使用済み燃料から取り出したプルトニウムを燃料として利用できるという特徴を持っています。 高速炉では、プルトニウムとウランを混ぜてセラミックス状にした燃料ペレットを使用します。この燃料ペレットを金属製の筒に封入したものを燃料棒と呼び、多数の燃料棒を束ねて炉心に装荷します。高速炉で使用される燃料は、プルトニウムとウランの混合酸化物から成るため、混合酸化物燃料、通称MOX燃料と呼ばれています。 高速炉は、プルトニウムを燃料として利用することで、ウラン資源をより有効に活用できるという利点があります。また、高速炉は、軽水炉で使用済み燃料として発生するプルトニウムを燃料として利用できるため、核廃棄物の減容化や資源の有効利用に貢献できる技術として期待されています。
原子力施設

革新的高速増殖炉:フェニックス

- フェニックスの概要 フェニックスは、フランスが開発した高速増殖炉の試験的な原子炉です。高速増殖炉は、従来の原子炉と比べて、ウラン燃料をより効率的に利用できるだけでなく、使用済燃料から取り出したプルトニウムを燃料として利用できるという利点があります。 フェニックスは、フランスの高速増殖炉開発計画において重要な役割を果たしました。1973年に運転を開始し、20年以上にわたって稼働しました。この間、高速増殖炉の安全性や信頼性に関する貴重なデータを取得し、技術の向上に大きく貢献しました。フェニックスで得られた技術や知見は、その後のフランスの高速増殖炉であるスーパーフェニックスの設計や建設に活かされました。 フェニックスは、高速増殖炉の実用化に向けた重要な一歩となりました。高速増殖炉は、エネルギー資源の有効利用や核廃棄物の削減に貢献できる可能性を秘めており、今後の原子力発電の選択肢の一つとして期待されています。
核燃料

解体プルトニウム:核軍縮と原子力利用の交差点

冷戦が終結すると、世界は核兵器の削減へと大きく動き出しました。米ソ間で締結された第二次戦略兵器削減条約(START-II)は、その象徴的な出来事と言えるでしょう。この条約によって、両国は保有する核兵器の削減を約束しました。 核兵器の解体が進むにつれて、これまで兵器に使われていた大量のプルトニウムが現れました。これは「解体プルトニウム」と呼ばれています。解体プルトニウムは、核兵器に転用できる高い純度のプルトニウム239を豊富に含んでいるため、国際社会全体で適切に管理し、処分することが課題となっています。 プルトニウム239は、ウラン238に中性子を照射することで生成される、人工の放射性元素です。核兵器の爆発を引き起こすために必要な臨界量に達しやすく、核兵器の原料として利用されてきました。解体プルトニウムには、このプルトニウム239が豊富に含まれているため、テロリストの手に渡り、核兵器に転用される危険性が懸念されています。 そのため、国際社会は、解体プルトニウムの厳重な管理体制の構築や、プルトニウムを原子力発電の燃料として使用するなど、平和利用を進めるための技術開発に取り組んでいます。国際原子力機関(IAEA)は、プルトニウムの適切な管理と利用に関する国際的なガイドラインを策定し、各国にその遵守を呼びかけています。
原子力施設

原子力研究の拠点:原子炉研究所

ロシアの原子力研究の中心地として、ディミトロフグラードに位置する原子炉研究所(RIAR)は、1956年の設立以来、国内の原子力開発を先導してきました。ここは、基礎研究から応用研究まで幅広く手掛け、ロシアの原子力技術の進歩に大きく貢献してきました。RIARの特徴は、多様な原子炉を保有している点です。高速炉や熱中性子炉など、様々な種類の原子炉を用いることで、多岐にわたる研究開発プロジェクトを同時進行できます。 RIARでは、原子力発電の安全性向上に関する研究開発にも積極的に取り組んでいます。具体的には、過酷事故の模擬実験や新型燃料の開発などを通して、より安全な原子力発電の実現を目指しています。さらに、RIARは、放射性廃棄物の処理・処分技術の開発にも力を入れています。環境負荷を低減するために、より安全かつ効率的な処理・処分方法の確立が急務とされています。 RIARは、国際的な原子力研究機関とも連携し、世界規模で原子力技術の発展に貢献しています。人材育成にも力を入れており、将来を担う原子力技術者の育成にも重要な役割を担っています。
原子力施設

原子炉科学研究所:ロシアの原子力研究の中心

1956年、ロシアのディミトロフグラードに原子炉科学研究所、通称RIARが設立されました。当時のソ連は、原子力研究が国の将来を左右する重要な鍵となると考えていました。そして、原子炉技術の開発を急速に進めるために、世界に通用するような最高の研究機関が必要だと判断したのです。こうしてRIARは、ソ連の原子力研究の中心的な役割を担う機関として誕生しました。 RIARは、原子炉の設計や構造といった原子炉工学をはじめ、原子炉に使用される材料の研究、ウランより重い元素である超ウラン元素の研究など、原子力に関する幅広い分野の研究開発に取り組んできました。
核燃料

BNFL:英国の原子力事業を支えた企業の変遷

- BNFLの誕生と役割1984年、英国ではサッチャー政権下で国有企業の民営化が積極的に進められていました。その一環として、それまで国の機関であった英国核燃料公社も民営化の対象となり、新たに「ブリティッシュ・ニュークリア・フューエルズ株式会社」、略称BNFLが設立されることになりました。これは、電力供給など公益性の高い事業であっても、民間企業の力で効率的に運営できるという考えに基づいた政策でした。BNFLは、民営化後も英国における核燃料サイクルにおいて重要な役割を担い続けました。具体的には、原子力発電所の燃料となるウランの濃縮や加工、使用済み核燃料の再処理、そして最終的な処分といった、原子力発電に伴う一連の工程を一手に引き受けていました。特に、再処理事業は国際的にも高く評価され、日本を含む世界各国から使用済み核燃料を受け入れていました。このように、BNFLは英国の原子力政策を支える中核的な企業として、長年にわたり大きな存在感を示していました。しかし、その一方で、高レベル放射性廃棄物の処理問題や、再処理施設における事故なども発生し、常に安全性の確保が課題としてつきまとっていました。
核燃料

英国核燃料会社:その変遷とMOX燃料工場

- 英国核燃料会社の設立 1984年、英国原子力産業にとって重要な転換期となる出来事がありました。それは、英国核燃料会社、通称BNFLの誕生です。BNFLは、原子力発電の要となる核燃料サイクルと、原子力発電所の稼働を停止した後に必要な廃止措置を専門に行う企業として設立されました。 BNFLの設立は、当時の英国政府が進めていた国有企業の民営化政策の一環として行われました。それまで英国の原子力産業を支えてきた国有企業であった英国核燃料公社が、民営化によって生まれ変わったのです。 民営化によって生まれたBNFLでしたが、その略称は以前の英国核燃料公社時代から引き継がれました。これは、国民にとって馴染みのある名称を維持することで、原子力事業に対する理解と信頼を継承しようとする狙いがあったと考えられます。 こうして産声を上げたBNFLは、その後、英国における原子力産業を牽引する存在として、その歩みを着実に進めていくことになります。
核燃料

原子力発電の未来を担う?:ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料

原子力発電所では、ウラン燃料を使って電気を作っています。燃料は使い終わると、まだエネルギーを生み出す力を持ったウランやプルトニウムが残っています。この、いわば「使い残し」のウランやプルトニウムを再利用し、資源を有効活用するために開発されたのがウラン・プルトニウム混合酸化物燃料、通称MOX燃料です。 MOX燃料は、使用済み燃料から回収したプルトニウムと、新たに採掘したウラン、あるいは使用済み燃料から回収したウランを混ぜ合わせて作られます。MOX燃料は、従来のウラン燃料と同じように原子炉の中で核分裂反応を起こし、熱エネルギーを生み出すことができます。 MOX燃料を使うことには、資源の有効活用の他にも、プルトニウムの量を減らせるという利点があります。プルトニウムは、核兵器の材料となる可能性があるため、その量を減らすことは国際的な安全保障の観点からも重要です。 MOX燃料は、資源の有効活用と核拡散防止の両方に貢献する技術として、期待されています。
核燃料

余剰プルトニウム:核軍縮が生み出す課題と国際協力

冷戦が終わりを告げると、世界は核兵器の数を減らす方向へと大きく動き出しました。特に、アメリカとソビエト連邦という二つの超大国が結んだ第二次戦略兵器削減条約(START-II)は、その象徴的な出来事と言えるでしょう。しかし、核兵器を解体していく過程で、新たな問題が生じました。それは、核兵器の材料となる「プルトニウム」が大量に余ってしまうという問題です。 兵器に転用可能なプルトニウムをどのように管理し、処分していくかは、国際社会にとって非常に重要な課題となりました。 プルトニウムは、ウラン燃料から取り出された後、適切に処理・管理されなければ、テロリストの手に渡り、核兵器に転用される危険性も孕んでいます。そのため、国際原子力機関(IAEA)は、余剰プルトニウムの厳格な管理と平和利用を国際社会に呼びかけています。 平和利用としては、プルトニウムを燃料として利用するプルサーマル発電や、高速増殖炉での利用などが挙げられます。 核兵器の削減は、人類にとって悲願であり、国際社会全体の努力によって達成されるべき目標です。それと同時に、余剰プルトニウムの管理という新たな課題にも、国際的な協力体制のもと、真剣に取り組んでいく必要があります。