原子力発電の陰の立役者:TBP
- TBPとはTBPは、リン酸トリブチルの略称で、化学式は(C4H9)3PO4と表される有機化合物です。常温では、無色透明で、少し変わった匂いがする液体状の物質です。水にはほとんど溶けませんが、アルコールや灯油など、有機物からできている液体には非常によく溶けるという性質を持っています。 -80℃という非常に低い温度で凍り始め、289℃で沸騰します。
TBPは、このような特徴を活かして、原子力発電の分野で重要な役割を担っています。原子力発電では、核燃料のウランを再処理する過程で、ウランとプルトニウムを分離する必要があります。この分離の際に、TBPは抽出剤として使用されます。具体的には、使用済み核燃料を硝酸に溶かし、そこにTBPを混ぜることで、ウランとプルトニウムだけを選択的に取り出すことができます。このように、TBPは原子力発電の再処理工程において、ウランとプルトニウムの分離に欠かせない物質なのです。