
エネルギー源としての核融合:D-T反応
- 核融合エネルギーの原理核融合とは、軽い原子核同士が非常に高い温度と圧力の下で融合し、より重い原子核へと変化する反応です。この時、物質の一部が莫大なエネルギーに変換され、外部に放出されます。このエネルギーを核融合エネルギーと呼びます。私たちの地球に光と熱を届けてくれる太陽も、中心部で起こる核融合反応によって膨大なエネルギーを生み出しています。太陽では、水素の原子核である陽子同士が融合し、ヘリウムの原子核へと変化する核融合反応が起きています。核融合反応には、反応を起こすために非常に高い温度と圧力が必要となります。太陽の中心部は約1500万度、2500億気圧という極限環境ですが、地上でこれと同等の環境を作り出すことは困難です。そこで、地上で核融合反応を起こすためには、太陽よりもさらに高温の環境が必要となります。現在、世界中で核融合エネルギーの実現に向けた研究開発が進められており、将来のエネルギー問題解決の切り札として期待されています。核融合エネルギーは、燃料となる物質が海水中に豊富に存在することや、二酸化炭素を排出しないことから、環境に優しいエネルギー源と言えます。また、原子力発電のように高レベル放射性廃棄物が発生することもありません。核融合エネルギーの実用化には、まだ多くの課題が残されていますが、世界中の研究者の努力によって、着実に実現へと近づいています。近い将来、核融合発電が私たちの社会に普及し、クリーンで安全なエネルギーがもたらされることが期待されます。