原子力と電離作用:基礎知識
- 電離作用とは電離作用とは、原子に外部からエネルギーが加えられることで、その原子が電子を放出したり、受け取ったりして電気を帯びた状態になる現象を指します。電気を帯びた状態の原子をイオンと呼び、プラスの電気を帯びたイオンを陽イオン、マイナスの電気を帯びたイオンを陰イオンと呼びます。私たちの身の回りでも、電離作用は様々な場面で起こっています。例えば、雷が発生する際には、大気中の分子が電離作用を受けてイオン化し、電流が流れます。雷雲の中で氷の粒がぶつかり合うことで静電気が発生し、これが空気中の分子にエネルギーを与えて電離させます。その結果、大量の電子が移動することで強力な電流が流れ、光や音を発します。また、蛍光灯の光も電離作用によって発生する光の一種です。蛍光灯の中には水銀ガスと少量のアルゴンガスが封入されており、電極に電圧をかけることで電子が放出されます。放出された電子は水銀原子に衝突し、水銀原子を電離させます。電離した水銀原子は不安定な状態であるため、再び安定な状態に戻ろうとしてエネルギーを光として放出します。これが蛍光灯の光として観察されます。このように、電離作用は私たちの身の回りで様々な現象を引き起こしています。電離作用は、原子レベルの現象ですが、私たちの生活に密接に関わっている現象と言えるでしょう。