ヨーロッパ統合の礎、マーストリヒト条約
- マーストリヒト条約とは1992年にオランダの都市マーストリヒトで署名され、1993年に発効したマーストリヒト条約は、正式名称を「欧州連合条約」といい、欧州連合(EU)の設立を定めた画期的な条約です。この条約は、それまでの欧州共同体(EC)を土台としつつ、より強固な結びつきを目指した新たな枠組みであるEUを生み出すことを目的としていました。マーストリヒト条約の特徴は、「三本の柱」と呼ばれる構造に集約されます。第一の柱は、従来のECの活動を継承した経済分野での統合の深化です。関税同盟の完成や単一通貨ユーロの導入はこの柱に基づいています。第二の柱は、外交・安全保障政策における協力の強化です。共通外交・安全保障政策(CFSP)の創設により、国際舞台におけるEUの存在感を高めることを目指しました。そして第三の柱は、司法・内務協力です。犯罪対策や出入国管理などで協力し、加盟国国民の安全と自由の確保を目指しました。マーストリヒト条約は、ヨーロッパ統合の歴史における大きな転換点となりました。単一通貨の導入という経済統合の深化だけでなく、政治、安全保障、司法といった幅広い分野での協力を促進することで、EUは名実ともに統合体としての道を歩み始めることになったのです。