蓄電池

その他

電力貯蔵の切り札!ナトリウム-硫黄電池

- ナトリウム-硫黄電池とはナトリウム-硫黄電池とは、その名の通りナトリウムと硫黄を材料に用いた電池です。電池内部は、正極(+)に硫黄、負極(-)にナトリウムが配置され、これらの間をβアルミナと呼ばれる特殊なセラミックでできた固体電解質が隔てています。この電池の仕組みは、充放電時にナトリウムイオンが固体電解質の中を移動することで電気を蓄えたり、放出したりする仕組みとなっています。ナトリウムイオンは、放電時には負極から正極へ、充電時には正極から負極へと移動し、電子の流れを生み出すことで充放電を行います。ナトリウム-硫黄電池は、従来の鉛蓄電池と比べて電力貯蔵能力が約3倍と高く、コンパクトかつ長寿命という優れた特徴を持っています。このため、大規模な電力貯蔵システムや電気自動車、太陽光発電システムの蓄電池など、様々な分野への応用が期待されています。特に、再生可能エネルギーの利用拡大が求められる中で、その出力変動を補うために、高性能な蓄電池として注目を集めています。
その他

電力貯蔵の必要性と未来

私たちの暮らしに欠かせない電気は、常に必要な時に必要なだけ作られているわけではありません。電気を貯めておくことは難しく、需要と供給のバランスを常に取る必要があるからです。電力会社は、この需要と供給のバランスを保つため、日々発電量の調整を行っています。 しかし近年、太陽光発電や風力発電など、天候に左右される再生可能エネルギーの普及が進んでいます。これらのエネルギーは、発電量が安定せず、電力系統の安定供給に課題があります。また、夏季の気温上昇に伴い、エアコンなどの使用が増加することで、電力需要がピークに達し、電力供給が逼迫することも課題となっています。 そこで注目されているのが「電力貯蔵」です。電力貯蔵とは、電力を後で使用するために貯めておく技術のことです。電力を貯蔵しておくことで、再生可能エネルギーの不安定な電力供給を安定化させたり、電力需要のピーク時に対応したりすることができます。電力貯蔵には、揚水発電や蓄電池など様々な方法があり、それぞれの特性に合わせて活用することで、より効率的かつ安定した電力供給が可能となります。
その他

エネルギー貯蔵の革新:NAS電池

- NAS電池とはNAS電池は、ナトリウムと硫黄を材料に用いた、繰り返し充電して使用できる二次電池です。従来のリチウムイオン電池とは異なり、資源的に豊富で安価なナトリウムと硫黄を使用している点が大きな特徴です。NAS電池の構造は、正極に硫黄、負極にナトリウムが配置され、その間をβアルミナと呼ばれる特殊なセラミック製の固体電解質が隔てています。このβアルミナは、ナトリウムイオンだけを通しやすい性質を持っているため、電池内でナトリウムイオンだけが移動することで充放電を行います。充電時には、外部から電圧をかけることで、負極のナトリウムから電子が放出され、ナトリウムイオンになります。このナトリウムイオンは、固体電解質を通って正極に移動し、硫黄と反応して硫化ナトリウムを生成します。放電時は、この逆の反応が起こり、蓄えられたエネルギーが放出されます。NAS電池は、資源の豊富さ、低コスト、高い安全性などがメリットとして挙げられます。そのため、大規模な電力貯蔵システム、特に太陽光発電や風力発電など、出力変動の大きい再生可能エネルギーの安定供給に貢献することが期待されています。
その他

分散型電池電力貯蔵:エネルギー貯蔵の未来

- 分散型電池電力貯蔵とは分散型電池電力貯蔵とは、家庭や企業など、電気を実際に使う場所に電池を設置して電気を貯めておく仕組みのことです。 夜間のように電気を使う量が少なくなる時間帯に電気を電池にためておき、昼間のように電気の需要が高まる時間帯にためておいた電気を使うことで、電力会社が供給しなければならない電気の量を一定に保つ効果があります。従来の電力供給は、主に規模の大きい発電所で電気を作り、それを様々な場所へ送電していました。しかし、分散型電池電力貯蔵は、電気を消費する場所で電気を作る、あるいは貯蔵するため、より効率的で安定した電力供給が可能になります。この仕組みは、太陽光発電や風力発電など、天候に左右されやすい再生可能エネルギーの導入拡大にも大きく貢献します。これらの発電方法は、発電量が安定しないという課題がありますが、発電した電気を分散型電池に貯蔵しておくことで、安定的に電気を供給することができるようになります。このように、分散型電池電力貯蔵は、電力の地産地消を進め、環境への負荷を低減しながら、より柔軟で安定した電力供給を実現する上で、今後ますます重要な役割を担っていくと考えられています。
原子力の安全

原子力発電の安全を守る!非常用電源とは?

私たちの暮らしは、電気があるのが当たり前になっています。冷蔵庫や洗濯機などの家電製品だけでなく、スマートフォンやパソコンなども電気なしでは使うことができません。 実は、電気をたくさん使う原子力発電所にとっても、電気は必要不可欠です。原子力発電所では、ウラン燃料が核分裂する際に発生する熱を利用して電気を作っていますが、発電のためだけではなく、原子炉を安全に運転し続けるためにも、電気は欠かせません。 もし、電力会社の送電線が事故や災害で壊れてしまい、発電所への電力供給が断たれてしまったらどうなるでしょうか?原子炉で制御できなくなった熱によって、炉心溶融などの深刻な事故につながる可能性もあります。 このような事態を防ぐために、原子力発電所には、外部からの電力供給が途絶えても、発電所自身で電気を供給できるよう「非常用電源」が備えられています。非常用電源には、ディーゼルエンジンで発電機を動かすものや、バッテリーを使うものなど、さまざまな種類があります。 原子力発電所は、これらの非常用電源を何重にも備えることで、電気が止まってしまっても、原子炉を安全に停止させ、放射性物質を適切に管理できるよう、万全の体制を整えているのです。
その他

エネルギー貯蔵の立役者:二次電池

- 二次電池とは二次電池とは、充電することによって電気を何度も蓄えたり、放出したりして、繰り返し使うことができる電池のことです。充電式電池、蓄電池、バッテリーなど、様々な呼び方があります。私たちの身の回りにあるスマートフォンやノートパソコン、電気自動車などには、この二次電池が使われています。乾電池のように使い捨てではなく、充電することで繰り返し使用できるため、資源の有効活用という観点からも注目されている電池です。二次電池の仕組みは、ニッケルやリチウムなどの金属化合物が、電気を帯びた状態と帯びていない状態を行ったり来たりする化学反応を利用しています。充電する際には、外部から電気を供給することで、これらの金属化合物をエネルギーの高い状態に変えます。そして、電池を使う際には、この蓄えられたエネルギーが化学反応によって放出され、電気として取り出されます。二次電池には、ニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池、リチウムイオン電池など、様々な種類があります。それぞれに特性が異なり、用途に合わせて使い分けられています。近年は、小型化・軽量化と同時に、より多くの電気を蓄えられる高容量化が進められており、私たちの生活をさらに便利にする技術として期待されています。
蓄電

酸化銀・亜鉛蓄電池:小型で高出力な蓄電池の仕組み

- 酸化銀・亜鉛蓄電池とは?酸化銀・亜鉛蓄電池は、正極に酸化銀、負極に亜鉛を用いた電池です。電気を蓄えておくことができるため、蓄電池と呼ばれています。この電池の中で電気を伝える役割をするものとして、水酸化カリウムなどを溶かしたものが使われています。酸化銀・亜鉛蓄電池は、小さな形でありながら、高い電圧とエネルギー密度を兼ね備えている点が大きな特徴です。エネルギー密度が高いということは、同じ大きさや重さでも多くの電気を蓄えておくことができるということを意味します。これらの特徴から、従来の電池では対応が難しかった分野への応用が期待されています。例えば、小型で軽い電子機器や、瞬間的に大きな力が必要な機器などです。具体的には、補聴器や腕時計などの小型電子機器、カメラのフラッシュや医療機器など、様々な分野での活躍が期待されています。酸化銀・亜鉛蓄電池は、将来の私たちの生活をより便利にする可能性を秘めた、注目の電池と言えるでしょう。
蓄電

ニッケル亜鉛蓄電池: 再び注目される蓄電技術

- ニッケル亜鉛蓄電池とはニッケル亜鉛蓄電池は、その名の通り、正極にニッケル系の化合物、負極に亜鉛を用いた蓄電池です。歴史を紐解くと、1900年代初頭、今から100年以上も前にすでに実用化されていました。 当時としては画期的な蓄電池として登場したニッケル亜鉛蓄電池でしたが、エネルギー密度や寿命の面で課題を抱えていました。簡単に言うと、同じ大きさや重さでも蓄えられる電気の量が少ない、そして、繰り返し充放電できる回数が限られているという弱点があったのです。 その後、時代が進むにつれて、より高性能な鉛蓄電池やニカド電池などが登場してきました。これらの新型蓄電池は、エネルギー密度や寿命の面でニッケル亜鉛蓄電池を凌駕していたため、ニッケル亜鉛蓄電池は次第に市場から姿を消していきました。 しかし、近年、ニッケル亜鉛蓄電池は再び注目を集め始めています。その理由は、環境負荷の低さと資源の豊富さです。ニッケル亜鉛蓄電池は、従来の鉛蓄電池やニカド電池と比べて、環境や人体への影響が少なく、リサイクルもしやすいという特徴があります。また、ニッケルや亜鉛は比較的資源が豊富であるため、将来にわたって安定供給が見込める点も魅力です。
蓄電

ニッケルカドミウム蓄電池:仕組みと用途

- ニッケルカドミウム蓄電池とはニッケルカドミウム蓄電池は、繰り返し充電して使用できる二次電池の一種で、一般的には「ニッカド電池」の愛称で親しまれています。その歴史は古く、19世紀末にスウェーデンの発明家ヴァルダーマール・ユングナーによって発明されました。ニッカド電池の内部では、正極にオキシ水酸化ニッケル、負極にカドミウムが用いられています。そして、これらの電極を水酸化カリウムを主成分とした電解液が満たしており、電気化学反応によって充放電を行います。ニッカド電池は、古くから様々な用途で利用されてきました。その理由として、低温環境でも比較的安定した性能を発揮すること、過放電や過充電に対する耐久性が高いこと、そしてメモリー効果と呼ばれる容量低下が少ないことなどが挙げられます。しかしながら、近年ではより高容量で環境負荷の低いニッケル水素電池やリチウムイオン電池の登場により、ニッカド電池の利用は減少傾向にあります。また、カドミウムは人体や環境に対して有害であるため、廃棄時には適切な処理が必要となります。
蓄電

未来を支える蓄電池:ニッケル・水素蓄電池

現代社会において、電気は私たちの生活にとって欠かせないものとなっています。照明を灯し、街を動かし、情報を伝えるために、電気は24時間休むことなく供給され続けています。しかし、電気は貯めておくことが難しいという側面も持ち合わせています。そこで、電気を効率的に貯蔵し、必要な時に供給できるようにする技術が重要性を増してきています。その役割を担うのが蓄電池です。 蓄電池は、電気を化学エネルギーに変換して貯蔵し、必要に応じて電気を放出する装置です。様々な種類の蓄電池が存在しますが、その中でもニッケル・水素蓄電池は、高い安全性と長寿命という特徴から、幅広い分野で利用されています。 ニッケル・水素蓄電池は、従来のニカド電池と比べて、エネルギー密度が高く、メモリー効果が少ないという利点があります。また、環境負荷の低い素材を使用しているため、地球環境にも優しい蓄電池として注目されています。 私たちの生活を支える電気、その安定供給を陰ながら支えるニッケル・水素蓄電池は、今後ますます重要な役割を担っていくと考えられます。
蓄電

次世代バッテリー:全固体電池の潜在力

私たちの日常生活は、スマートフォンやノートパソコン、電気自動車といったバッテリーで動く機器であふれています。これらの機器の性能をさらに向上させるためには、バッテリー自体が高容量化、小型化、安全性向上といった進化を遂げることが不可欠です。現在主流のリチウムイオン電池は、可燃性の液体を電気を流すための電解質として使用しているため、発火の可能性が課題として挙げられます。 そこで、この液体の電解質を固体化する技術が注目されています。全固体電池と呼ばれるこの技術は、安全性とエネルギー密度を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。 固体電解質は燃えにくいため、発火のリスクを大幅に抑えられます。また、従来の液体電解質よりも多くのエネルギーを貯蔵できるため、バッテリーの容量を増やすことができます。さらに、固体であるがゆえに形状の自由度が高く、小型化や設計の自由度向上にも貢献します。 全固体電池の実用化はまだこれからですが、実用化されれば、電気自動車の航続距離延長や、スマートフォンなどのモバイル機器の長時間駆動を実現するなど、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めていると言えるでしょう。
蓄電

私たちの生活を支える鉛蓄電池

- 鉛蓄電池その仕組みと特徴鉛蓄電池とは、電気を蓄え、必要な時に取り出すことができる装置である蓄電池の一種です。 1859年、フランスのガストン・プランテによって発明され、現在広く使われている充電可能な電池としては最も古い歴史を持っています。鉛蓄電池の内部は、プラスとマイナスの電極、そして電気を流す液体である電解液で構成されています。プラスの電極には二酸化鉛、マイナスの電極には鉛が使われており、電解液には希硫酸が用いられています。充電を行う際には、外部から電気を流すことで、電池内部で化学変化が起こります。この化学変化によってエネルギーが蓄えられます。そして、電気を必要とする機器に接続すると、蓄えられたエネルギーが電気エネルギーに変換され、機器に電気が供給されます。鉛蓄電池は、比較的安価で製造できるという点や、大きな電流を流せるという点から、自動車のバッテリーや非常用電源など、幅広い用途で利用されています。しかし、他の種類の蓄電池と比べると、重くて持ち運びにくいという欠点や、寿命が限られているという欠点も持ち合わせています。
蓄電

次世代蓄電の潮流:半導体二次電池

- 半導体二次電池とは現在、スマートフォンや電気自動車など、様々な場所で充電可能な電池が使われています。この電池の多くは「リチウムイオン電池」と呼ばれ、中では液体状の電解質が使われています。しかし、この液体電解質には、発火や液漏れといった危険性が課題としてありました。そこで近年、固体の電解質を使った「半導体二次電池」という新しい電池が注目されています。この電池は、従来のリチウムイオン電池と比べて、発火や液漏れの心配が大幅に減ることが期待されています。従来の液体電解質は可燃性が高く、万が一、電池が破損した場合、発火や爆発の危険性がありました。また、液漏れも深刻な問題で、電子機器の故障や人体への影響が懸念されていました。一方、半導体二次電池で使用される固体電解質は、不燃性で安定性が高いため、発火や液漏れのリスクを大幅に抑えることができます。さらに、半導体二次電池は、小型化・軽量化できる可能性も秘めています。従来のリチウムイオン電池よりも多くのエネルギーを貯蔵できるため、同じ容量であれば電池を小さく、軽くすることが可能になります。このように、多くの利点を持つ半導体二次電池は、次世代の電池として期待されています。まだ開発段階ではありますが、実用化に向けて研究が進められています。
蓄電

次世代を担う電池、リチウム硫化鉄電池とは?

- はじめに近年、地球の温暖化を食い止め、エネルギー問題を解決する手段として、太陽光や風力といった自然の力を利用した発電方法に注目が集まっています。しかし、これらの発電方法は天候に左右されやすく、安定した電力供給を実現するには電気を貯めておくシステムが欠かせません。そこで、次世代を担う蓄電池として期待されているのがリチウム硫化鉄電池です。従来の蓄電池と比べて、リチウム硫化鉄電池はいくつかの点で優れています。まず、材料が豊富に存在するため、コスト削減が見込めます。また、安全性が高く、環境負荷も低いという点も大きな魅力です。さらに、大型化が可能であるため、大規模な電力貯蔵システムへの応用も期待されています。リチウム硫化鉄電池は、太陽光発電や風力発電と組み合わせることで、より安定した電力供給を実現する鍵となります。また、電気自動車のバッテリーとして利用すれば、走行距離の延長や充電時間の短縮といったメリットも期待できます。地球環境の保全とエネルギー問題の解決に向けて、リチウム硫化鉄電池は大きな役割を担うと期待されています。
蓄電

次世代を担う?ナトリウム硫黄電池の仕組み

ナトリウム硫黄電池は、その名の通りナトリウムと硫黄をそれぞれ負極と正極に用いた蓄電池です。 この電池の大きな特徴は、約300℃という高温で動作することです。そのため、電池内部のナトリウムと硫黄は液体状態となっています。高温を維持するために、電池は断熱材で覆われています。その外観は、まるで大きな魔法瓶のようです。 ナトリウム硫黄電池は、エネルギー密度が高いという利点があります。これは、従来の鉛蓄電池と比べて、同じ大きさでも多くの電気を蓄えられることを意味します。さらに、充放電を繰り返しても寿命が長いという利点もあります。 これらの特性から、ナトリウム硫黄電池は、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの出力変動を補うための蓄電池として期待されています。
蓄電

注目の蓄電技術!レドックス・フロー電池とは?

レドックス・フロー電池は、電気を貯めておくことができる電池の一種です。この電池は、電気を貯めたり放出したりする時に、特殊な液体に溶けている物質が化学反応を起こすことで、その役割を果たしています。 一般的な電池とは異なり、レドックス・フロー電池は電気を貯める部分と、実際に電気として取り出す部分が別々に作られています。このため、電気を貯めるタンクの大きさと、電気の強さを変える部分をそれぞれ独立して調整できるという利点があります。 近年、太陽光発電や風力発電など、自然エネルギーの利用が増えてきています。しかし、これらのエネルギーは、天候によって発電量が大きく変動してしまうという課題があります。そこで、レドックス・フロー電池は、変動する自然エネルギーを安定的に供給するための調整役として期待されています。大きなタンクに電気を貯めておくことができるため、太陽光が少ない時間帯や風が弱い時間帯でも、安定して電気を供給することが可能になるからです。