許容被曝線量から線量当量限度へ
かつて、放射線を扱う仕事に従事する人たちは、体への影響を考慮して、一定量までは放射線を浴びても許容されるという考え方が主流でした。この許容される放射線の量のことを「許容被曝線量」と呼んでいました。
この考え方が生まれた背景には、1965年に国際放射線防護委員会(ICRP)が出した勧告があります。この勧告では、放射線を浴びることで健康への悪影響が生じる可能性を認めつつも、その影響を一定レベルに抑えることを目的として、放射線業務に従事する人々に対する被曝線量の上限を定めていました。
しかし、時が経つにつれて、放射線から人々を守るための考え方は大きく進歩しました。放射線による健康への影響は、わずかでも浴びれば浴びるだけリスクが高まるという考え方が広まり、国際的な基準もより厳格なものへと変化していきました。
このような変化に伴い、「許容被曝線量」という言葉は、放射線防護の考え方の変化を適切に反映した「線量当量限度」という用語に置き換えられました。これは、放射線業務に従事する人々が、業務上浴びてもよいとされる線量の上限値を示すものです。