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その他

CTBT:核実験を全面的に禁止する条約

- 包括的核実験禁止条約とは包括的核実験禁止条約(CTBT)は、1996年9月に国連総会で採択された、核兵器実験を全面的に禁止する条約です。この条約は、地球上のあらゆる場所、すなわち大気圏内、宇宙空間、水中、地下を問わず、あらゆる核爆発を禁じています。CTBTは、核兵器の開発や改良、ひいては核拡散を抑制するために極めて重要な国際条約とされています。核実験は、新たな核兵器の開発や既存の核兵器の改良に欠かせないプロセスです。そのため、核実験を禁止することで、核兵器の開発競争に歯止めをかけ、核兵器の拡散を防ぐ効果が期待されます。この条約は、まだ発効していません。発効には、日本、アメリカ、中国、ロシア、イギリス、フランスなど、条約で指定された44か国全てが批准する必要があります。しかし、現在までにインド、パキスタン、北朝鮮を含む8か国が未批准であるため、条約は発効に至っていません。これらの未批准国の中には、既に核兵器を保有している国や、核兵器開発の意図が疑われている国も含まれています。そのため、CTBTの発効は、国際的な安全保障環境を大きく左右する重要な課題となっています。
その他

地球温暖化対策の切り札:CCSとは?

- CCSの概要CCSとは、「Carbon Dioxide Capture and Storage」の略称で、日本語では「二酸化炭素回収・貯留技術」といいます。 これは、火力発電所や工場など、多くの二酸化炭素を排出する施設から出るガスから、二酸化炭素だけを分離して回収し、地下深くへ長期間にわたって貯留する技術です。 具体的には、まず工場や発電所から排出されるガスから、特殊な溶液や膜などを用いて二酸化炭素だけを分離・回収します。その後、回収した二酸化炭素はパイプラインなどを使って、適切な貯留場所まで輸送されます。貯留場所としては、枯渇した油田やガス田、あるいは深い海底の地層などが考えられています。こうして、二酸化炭素は大気中に放出されることなく、長期間にわたって地中に貯留されることになります。CCSは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を大幅に削減できる技術として期待されています。 世界各国で研究開発が進められており、一部では実用化も始まっています。CCSは、地球温暖化対策の切り札の一つとして、今後ますます重要な役割を担っていくと考えられています。
その他

独立国家共同体:CISとは?

1991年、世界を二分した冷戦構造は終焉を迎え、巨大国家ソビエト連邦は崩壊しました。これに伴い、かつてソ連を構成していた共和国は、それぞれ独立への道を歩み始めます。しかし、長年にわたる共産主義体制の影響は根強く、経済、軍事、政治など、多くの分野で共通の課題を抱えていました。 このような状況下、バルト三国を除く12の旧ソ連構成共和国によって、独立国家共同体、通称CISが設立されました。CISは、1991年12月8日にベラルーシ、ロシア、ウクライナの3カ国によって創設され、その後、他の共和国も参加しました。 CISの主な目的は、加盟国間の相互協力と調整を通じて、政治的、経済的、社会的な安定と発展を実現することです。具体的には、貿易や投資の促進、エネルギー協力、テロ対策、組織犯罪対策、紛争予防などが挙げられます。 CISは、冷戦後の激動期において、旧ソ連諸国が共通の課題に対処し、新たな関係を構築するための重要な枠組みを提供しました。しかし、近年では、ウクライナ危機やナゴルノ・カラバフ紛争など、加盟国間の対立も顕在化しており、CISの将来は不確実なものとなっています。
その他

COP3と原子力発電:地球温暖化対策の切り札となるか?

1997年12月、日本の京都で開かれた国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議、通称COP3は、地球温暖化対策において歴史的な転換点となりました。この会議で採択された京都議定書は、地球温暖化問題に対する国際社会の強い危機感を具体的に示したものとして大きな意義を持ちます。 京都議定書は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが地球温暖化の主な原因であるという科学的知見に基づき、先進国に対して温室効果ガスの排出削減を義務付けました。具体的な目標として、2008年から2012年までの期間に、1990年と比べて少なくとも5%の削減を目指しました。これは、地球温暖化がもはや一部の国だけの問題ではなく、世界全体で協力して取り組むべき人類共通の課題であるという認識が国際社会で共有されたことを示すものでした。 京都議定書は、排出削減の目標達成に向けて、各国が協力して技術開発や省エネルギー対策などを推進することの重要性を明確に打ち出しました。また、途上国への資金や技術の支援についても具体的な枠組みを定め、世界全体で地球温暖化対策を進めていくための基盤を築きました。
その他

セラミックガスタービン:高効率エネルギー変換の未来

- セラミックガスタービンとはセラミックガスタービン(CGT)は、その名の通りセラミック材料を用いたガスタービンです。従来のガスタービンは高温に耐えられる金属で作られていましたが、CGTではさらに高温に強いセラミック材料をタービンの高温部に使用しています。では、なぜセラミック材料を使うと良いのでしょうか?ガスタービンは、高温の燃焼ガスでタービンを回転させて発電機を動し、電気を作り出します。この時、タービン入口温度が高いほど熱エネルギーを効率的に電気に変換できます。しかし、従来の金属材料では耐えられる温度に限界があり、効率向上には限界がありました。セラミック材料は金属材料よりもはるかに高い温度に耐えることができるため、タービン入口温度を大幅に上昇させることが可能となります。その結果、発電効率が向上し、燃料消費量も抑制できるため、環境負荷低減にも繋がります。CGTはまだ開発段階ですが、実用化されれば発電の効率性や環境適合性を大きく向上させる可能性を秘めています。
その他

エネルギー源としてのC重油

原油は、私たちの生活に欠かせない燃料や様々な製品の原料となる貴重な資源です。原油からガソリンや灯油、軽油などを精製していくと、最後にドロドロとした黒っぽい液体状の物質が残ります。これがC重油と呼ばれるものです。C重油は、原油を精製する過程で最後に残る、最も沸点の高い成分で、JIS規格では重油の中でも特に粘り気が強い第3種に分類されます。 そのほとんどが蒸留残渣油という、原油から精製しやすい成分を取り除いた後に残る成分で構成されています。 C重油は、主に工場のボイラーや大型船舶の燃料として利用されています。粘り気が強いため、そのままでは燃料として使用することが難しく、温めて粘度を下げてから燃焼させます。 近年では、地球温暖化対策として、二酸化炭素排出量の少ない燃料への転換が求められています。C重油は燃焼時に多くの二酸化炭素を排出するため、環境負荷の面からその利用は見直されつつあります。しかしながら、エネルギー資源としての価値は依然として高く、よりクリーンな燃料として活用するための技術開発も進められています。
原子力の安全

原子力発電の安全対策: CPトラップとは

原子力発電所では、ウラン燃料が核分裂反応を起こし、莫大な熱エネルギーを発生させ、その熱を利用して発電を行っています。この核分裂反応時に発生する高エネルギーの中性子線は、燃料棒や炉心構造物に照射されます。燃料棒や炉心構造物は、鉄、ニッケル、クロムといった金属元素などで構成されていますが、中性子線の照射を受けると、これらの金属元素や不純物が放射性を持つ核種に変換されます。この放射性物質は、腐食生成物と呼ばれ、原子炉の運転に伴い、冷却水に溶け出したり、微粒子となって冷却水中に漂ったりします。 腐食生成物は、放射能を持つため、原子炉の配管内や機器表面に付着し、放射線量を上昇させる原因となります。このため、原子力発電所では、腐食生成物の発生を抑制するために、冷却水の純度管理や材料の改良など、様々な対策を講じています。例えば、冷却水中の酸素濃度を低く保つことで、金属の腐食を抑制したり、耐食性に優れた材料を採用することで、腐食生成物の発生量を抑制したりしています。このように、腐食生成物の管理は、原子力発電所の安全運転にとって非常に重要です。
その他

ドイツにおける原子力発電:CDU/CSUの視点

ドイツキリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟は、長年にわたりドイツのエネルギー政策において中心的な役割を果たしてきました。特に1973年の石油危機をきっかけに、エネルギー源を石油に頼りすぎないよう、国内に豊富にある石炭と原子力を積極的に活用する政策を推し進めてきました。両党は、エネルギーの安定供給を確保し、他国からのエネルギー輸入への依存度を下げるためには、石炭と原子力が欠かせないと考えていたのです。 特に原子力発電については、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量が少なく、天候に左右されずに安定した電力を供給できるという点で、重要なエネルギー源と位置付けてきました。また、原子力発電所の建設や運転によって、国内に多くの雇用が生まれることも重視してきました。 しかし、2011年の福島第一原子力発電所の事故後、国民の間で原子力発電に対する不安が高まり、エネルギー政策の見直しを迫られることになりました。その後、ドイツは原子力発電からの段階的な撤退を決定し、再生可能エネルギーの導入を積極的に進める方向へと大きく舵を切ることになります。
放射線について

体内を透視するCT検査

- CT検査とはCT検査とは、「コンピュータ断層撮影」の略称で、体の内部を詳しく調べるための医療画像診断装置の一つです。レントゲン検査と同じようにX線を使用しますが、CT検査では、体の周囲をぐるりと回転する装置からあらゆる方向にX線を照射します。そして、体の各部位を透過する際に変化するX線の量をコンピュータで処理することで、体の断面画像を得ることができます。CT検査で得られる画像は、従来のレントゲン写真よりも鮮明で、臓器や骨などの状態を立体的に把握することができます。そのため、通常のレントゲン検査では発見が難しいがんや腫瘍、血管の病気、骨折などの診断に非常に役立ちます。検査時間は撮影する部位や範囲によって異なりますが、おおむね数分から数十分程度です。検査中は、医師や診療放射線技師の指示に従って、息止めなどの協力が必要となる場合があります。検査に伴う痛みはほとんどありません。CT検査は、病気の早期発見や正確な診断に大きく貢献する、現代医療において欠かせない検査と言えるでしょう。
原子力の安全

原子炉の安全を守るCCLとは?

原子力発電所では、発電の心臓部である原子炉の安全確保が最も重要となります。その安全を揺るぎないものにするために、原子炉に使われている材料の健全性を維持することが欠かせません。原子炉内は、高い圧力と強い放射線が常に存在する過酷な環境です。このような環境下では、たとえわずかなものであっても、材料の劣化や損傷は避けられません。微小なき裂は、時間の経過とともに徐々に成長し、最終的には大きな破損に繋がる可能性があります。そこで、原子炉の安全性を評価する上で重要な指標となるのが、「限界き裂長さ(CCL)」です。 CCLとは、材料に存在するき裂が、それ以上成長することなく安定して存在できる限界の長さを指します。言い換えれば、CCLよりも短い長さのき裂であれば、原子炉の運転を継続しても問題ないと判断できるのです。原子炉の設計段階では、想定されるあらゆる過酷な条件を考慮し、材料のCCLを正確に把握しておく必要があります。そして、運転開始後も、定期的な検査や点検を通じて、材料の状態を常に監視し続けなければなりません。もしも、き裂がCCLを超えて成長していることが確認された場合は、直ちに運転を停止し、必要な対策を講じる必要があります。このように、CCLは原子炉の安全運転期間を確保するための、重要な要素と言えるでしょう。
原子力の安全

原子力安全研究の国際協調:CSARP計画とは

原子力発電所は、私たちの生活に欠かせない電力を供給する重要な施設です。しかし、その安全性については常に万全を期す必要があります。万が一、炉心損傷事故が発生した場合、燃料の損傷や放射性物質の放出がどの程度になるのかを正確に把握することが、被害を最小限に抑えるために不可欠です。 このような背景から、アメリカ合衆国では原子力発電所の安全性を向上させるための取り組みが積極的に行われてきました。1982年から開始されたSFD計画は、軽水炉で炉心損傷事故が発生した場合に、燃料がどの程度損傷し、放射性物質がどのように放出されるのかを調査する研究計画でした。この計画は、原子力発電所の安全性を確保するための重要な一歩となりました。 その後、1993年からは、SFD計画の成果を踏まえ、より深刻な事故、すなわち苛酷事故に焦点を絞ったCSARP計画へと発展しました。苛酷事故とは、炉心損傷事故の中でも特に深刻な状況を想定したものであり、この計画によって、より厳しい条件下における燃料の損傷や放射性物質の放出挙動の解明が進められています。これらの研究成果は、原子力発電所の設計や運転、事故時の対応策の改善に役立てられ、私たちの安全と安心を守るために活かされています。
その他

企業価値を高めるCSRとは

- 企業の社会的責任CSRとは「CSR」とは「企業の社会的責任」の略称で、企業が事業活動を行うにあたり、利益の追求だけでなく、環境問題や人権問題、地域社会への貢献など、社会全体にとって重要な課題にも積極的に取り組み、責任を果たしていくべきであるという考え方です。 近年、このCSRに対する関心が世界的に高まっています。従来、企業は利益を上げて株主還元を行うことが最大の使命と考えられてきました。しかし、グローバル化や環境問題の深刻化、社会的な不平等などの問題が顕在化する中で、企業は経済活動を行う主体として、社会の一員としての責任を果たすことが求められるようになってきました。CSRを実践する企業は、環境に配慮した製品やサービスの開発、人権を尊重したサプライチェーンの構築、地域社会への貢献活動など、様々な取り組みを行います。 これらの活動を通じて、企業は社会からの信頼や評価を高め、企業価値の向上につなげることが期待できます。CSRは、企業が持続的に成長していくために不可欠な要素になりつつあります。消費者もまた、商品やサービスを選ぶ際に、企業のCSRへの取り組みを重視する傾向が強まっています。 企業は、社会の一員としての責任を自覚し、積極的にCSR活動に取り組むことが、長期的な成長と発展につながると言えるでしょう。
その他

CAI:未来の学びを創造する

- CAIとは CAIとは、「コンピュータ支援教育」を意味する言葉で、コンピュータを使って学習の効果を高める教育方法です。 従来の一斉授業のような形式とは違い、生徒一人ひとりの学習速度に合わせた指導が可能になるなど、多くの利点があります。 CAIでは、コンピュータの画面上に表示される問題を解いたり、シミュレーションを通して実践的な学習を行ったりすることができます。また、学習内容を記録しておくことができるため、生徒の理解度を把握し、個別に指導をすることも容易になります。 CAIは、場所や時間に縛られずに学習できるというメリットもあります。 インターネットに接続できる環境であれば、自宅でも学校でも、自分のペースで学習を進めることができます。さらに、音声や動画など、様々なメディアを活用することで、生徒の興味関心を引き付け、学習意欲を高める効果も期待できます。 CAIは、これからの時代の教育を大きく変える可能性を秘めた、革新的な学習方法と言えるでしょう。
その他

貿易価格CIF: 原子力燃料輸入の基礎知識

- CIFとは CIFとは、「運賃保険料込み条件」を意味する、国際的な商品の取り引きで使われる言葉です。具体的には、売る側が、商品の値段に加えて、運搬にかかる費用と保険料も負担することを表しています。 買い手にとっては、CIF価格を支払うだけで、指定した場所で商品を受け取ることができ、とても分かりやすい取引形態と言えます。もし輸送中に事故などが発生した場合でも、売る側が保険に加入しているため、買い手は金銭的な負担を負う心配がありません。 CIFは、主に海上輸送において使われる条件です。そのため、輸出入を行う際には、CIFをはじめとする様々な貿易条件について理解しておくことが重要です。
放射線について

もう使われていない放射能の単位 〜キュリー〜

放射能の強さを表す単位として、ベクレル(Bq)が使われています。これは国際単位系(SI)に属し、1秒間に原子核が1回壊変する放射能の強さを示します。例えば、100ベクレル(100 Bq)の放射性物質であれば、1秒間に平均して100個の原子核が壊変することを意味します。 ベクレルは、放射性物質が持つ放射能の強さを表すものであり、その物質から放出される放射線の量や種類、人体への影響度合いを示すものではありません。放射線の量を表す単位としては、グレイ(Gy)やシーベルト(Sv)などが用いられます。 かつては、放射能の単位としてキュリー(Ci)も使われていました。1キュリーは、1グラムのラジウム-226の放射能の強さにほぼ等しく、3.7×10^10ベクレルに相当します。しかし、現在では国際的にベクレルが統一的に使用されています。
その他

地球温暖化対策の舞台:COP

- 地球温暖化対策の国際会議地球温暖化は、私たちの惑星が直面する最も深刻な問題の一つであり、その影響は広範囲に及びます。気候変動による海面上昇、異常気象の増加、生態系への影響など、私たちの生活、安全、そして未来を脅かしています。こうした地球規模の課題に対処するために、世界各国が協力して対策を協議する場として、重要な役割を担っているのが「国連気候変動枠組条約締約国会議」、通称COPです。これは、英語の"Conference of the Parties"を略したもので、毎年開催される国際会議です。COPでは、世界中の国々から政府関係者、専門家、NGO、企業などが一堂に会し、地球温暖化問題に関する最新の科学的知見を共有し、温室効果ガスの排出削減に向けた具体的な目標や対策、国際協力のあり方などについて議論を重ねます。1995年にドイツのベルリンで初めて開催されて以来、COPは地球温暖化対策の進展に重要な役割を果たしてきました。特に、1997年に採択された京都議定書や、2015年に採択されたパリ協定など、国際的な枠組みの構築において歴史的な合意を導いてきました。COPは、地球温暖化という地球規模の課題に対して、国際社会が共通の認識を持ち、協力して解決策を見出すための重要な場となっています。 世界各国がそれぞれの責任と役割を認識し、協力して行動していくことが、地球温暖化を食い止め、持続可能な社会を実現するために不可欠です。
その他

地球を救う協力体制:CDMとは?

地球温暖化は、私たちの生活環境や経済活動に深刻な影響を与える、世界共通の喫緊の課題です。気温上昇による海面上昇や異常気象の増加は、私たちの社会や経済に大きな損害をもたらす可能性があります。この地球規模の問題を解決するため、国際社会は協力して様々な対策に取り組んでいます。その中でも、クリーン開発メカニズム(CDM)は、先進国と発展途上国が共に地球温暖化防止に取り組むための革新的な仕組みとして、世界中から注目されています。 CDMは、京都議定書で定められた国際的な枠組みであり、先進国が発展途上国において温室効果ガスの削減プロジェクトを実施することを支援するものです。具体的には、先進国が資金や技術を提供し、発展途上国で実現した温室効果ガスの削減量を、先進国の削減目標達成に利用することができます。この仕組みにより、先進国は自国の削減目標をより効率的に達成することができると同時に、発展途上国は経済発展と環境保全の両立を図ることができます。 CDMは、地球温暖化という課題に対して、先進国と発展途上国が互いに協力し、それぞれの強みを生かしながら解決を目指す、持続可能な社会の実現に向けて重要な役割を担っています。
核燃料

原子力発電におけるCILCとその対策

原子力発電所では、ウラン燃料を金属製の被覆管に封じ込めています。この被覆管は、核分裂反応によって生じる熱や放射性物質から外部環境を守る、原子炉の安全性を保つ上で非常に重要な役割を担っています。 しかし、原子炉内は高温・高圧の冷却水が循環する過酷な環境であり、被覆管の腐食は避けることのできない課題となっています。 被覆管の腐食が進むと、強度や耐性が低下し、最悪の場合には破損してしまう可能性も考えられます。破損すると、放射性物質が冷却水中に漏洩し、原子炉の運転停止や周辺環境への影響といった深刻な事態に繋がることが懸念されます。 このような事態を防ぐため、被覆管には、ジルコニウム合金など、耐食性に優れた材料が用いられています。さらに、冷却水の純度を高く保つなど、腐食を抑制するための様々な対策が講じられています。 被覆管の腐食は、原子力発電所の安全性と信頼性を左右する重要な要素です。今後も、材料科学や腐食に関する研究開発を進め、より安全で信頼性の高い原子力発電の実現を目指していく必要があります。
原子力施設

独自技術の結晶:CANDU炉の仕組み

- CANDU炉とはCANDU炉は、カナダで独自に開発され、実用化に至った原子炉です。その名前は、CANadian Deuterium Uraniumの頭文字から来ており、これは「カナダの重水素ウラン」という意味です。では、この「重水素」とは一体何なのでしょうか? 原子炉の内部では、ウラン燃料が核分裂反応を起こして熱を生み出します。この核分裂反応を制御するために、中性子という粒子を減速させる必要があります。この減速材として、CANDU炉では「重水」と呼ばれる特殊な水が使われています。 重水は、普通の水よりもわずかに重い水です。これは、水の分子を構成する水素原子の一部が、「重水素」という少し重い原子に置き換わっているためです。CANDU炉はこの重水を減速材としてだけでなく、原子炉から熱を運び出す冷却材としても使用しています。このような原子炉は、重水減速・重水冷却型原子炉と呼ばれます。 CANDU炉は、世界的に見ても珍しい技術を採用しており、他の原子炉と比べていくつかの利点があります。例えば、ウラン燃料を濃縮せずに利用できるため、燃料の調達コストを抑えられるというメリットがあります。また、運転中の燃料交換が可能であるため、高い稼働率を維持することができます。これらの特徴から、CANDU炉は安全性と信頼性の高い原子力発電を実現する技術として、世界的に注目されています。
放射線について

航空機利用時の宇宙放射線被ばく線量を計算するCARIコード

- はじめ 現代社会において、飛行機は人や物を運ぶ上で欠かせない乗り物となっています。空高く飛ぶ飛行機は、地上よりも宇宙からの放射線を多く浴びます。この放射線は、人体に影響を及ぼす可能性があるため、その量を適切に管理することが重要です。 宇宙放射線は、太陽や銀河系外の宇宙からやってくるエネルギーの高い粒子線です。地上では、大気や地球の磁場が私たちを守ってくれていますが、高度が高いところを飛ぶ飛行機の中では、地上よりも多くの宇宙放射線を浴びることになります。 人体が過剰に宇宙放射線を浴びると、健康への影響が懸念されます。そのため、航空機に携わる乗務員や頻繁に飛行機を利用する人々にとって、宇宙放射線の影響を評価し、対策を講じることが重要です。 そこで開発されたのが、CARIコードと呼ばれる計算方法です。CARIコードを使うことで、航空機利用時の宇宙放射線による被ばく線量を推定することができます。 この文章では、航空機利用と宇宙放射線被ばくの関係について、CARIコードを用いた被ばく線量の計算方法を中心に詳しく解説していきます。
原子力施設

原子炉安全研究の立役者 CABRI炉

フランス南部にあるカダラッシュ研究所は、原子力の技術開発において世界をリードする重要な役割を担っています。この研究所の中でも特に注目すべき施設の一つにCABRI炉があります。CABRI炉は、原子炉の安全性を評価するための実験を行うために特別に建設された原子炉です。1963年から稼働している歴史あるCABRI炉は、プールタイプと呼ばれる構造を持つ熱出力25MWの原子炉です。原子炉の安全性を評価する上で重要なのは、万が一の事故を想定した際に燃料がどのように振る舞うかを詳細に把握することです。CABRI炉は、原子炉の燃料の挙動を詳細に調べるために設計されており、燃料に急激な変化を加えた際にどのように変化するのか、周囲にどのような影響を与えるのかを調べる実験などが行われています。このような実験を通して得られたデータは、原子炉の設計や安全基準の策定に役立てられ、世界中で稼働する原子炉の安全性の向上に大きく貢献しています。
原子力の安全

カナダの原子力安全規制:CNSCの役割

- カナダにおける原子力安全規制の責任機関カナダでは、原子力の安全確保にむけて厳格な規制体制が敷かれています。その中心的な役割を担っているのが、カナダ原子力安全委員会 (CNSC) です。CNSCは、2000年5月31日に施行された新たな法律、新原子力安全管理法 (NSCA) に基づいて設立されました。この法律により、それまで原子力安全規制を担っていた原子力管理委員会 (AECB) の業務がCNSCに引き継がれることとなりました。CNSCは、連邦政府の独立組織 として位置付けられており、特定の省庁や大臣の指揮下に置かれることはありません。 これは、原子力安全に関する意思決定において、透明性と客観性を確保するために重要な要素となっています。CNSCの権限はカナダ全土に及び、原子力発電所はもちろんのこと、ウラン採掘や放射性廃棄物の管理など、原子力に関連するあらゆる活動がその対象となります。CNSCの主な任務は、国民の健康と安全、環境、そして国家の安全保障を守る観点から、原子力エネルギーの平和的な利用を規制することです。具体的には、原子力施設の建設や運転の認可、放射性物質の安全な使用と輸送の監督、原子力関連の研究開発活動に対する規制など、多岐にわたる業務を行っています。
地熱発電

地球に優しい地熱発電:CO2排出量の少なさ

- 地熱発電とは地熱発電は、地球内部に蓄えられた熱エネルギーを活用して発電する仕組みです。火山が多い日本では、古くから温泉などで地熱エネルギーの存在が知られていました。では、具体的にどのようにして電気を作るのでしょうか。地下深くには、マグマの熱によって温められた高温の蒸気や熱水が存在します。この高温の蒸気や熱水を地上に汲み上げ、その熱エネルギーを使ってタービンを回転させ、発電機を動かすことで電気を作り出します。火力発電のように燃料を燃やす必要がないため、二酸化炭素の排出量を抑え、地球温暖化対策にも貢献できるという点も大きな特徴です。さらに、地熱発電は太陽光発電や風力発電と比べて、天候に左右されずに安定した電力供給が可能です。日本のエネルギー事情において、地熱エネルギーは将来性のある国産エネルギー源として期待されています。