
放射線計測の立役者:光電子増倍管
- 光電子増倍管微弱な光を捉える技術光電子増倍管は、人間の目ではほとんど感知できないほどの、極めて弱い光を検出し、電気信号に変換して増幅する、非常に優れた装置です。医療機器、天体観測、放射線計測といった幅広い分野で利用され、科学技術の発展に大きく貢献しています。その仕組みは、まず光を電子に変換することから始まります。光電子増倍管の内部には、光電効果を持つ特殊な金属板(光電面)が設置されており、そこに微弱な光が入射すると、金属表面から電子が飛び出します。この現象を光電効果と呼び、飛び出した電子は光電子と呼ばれます。次に、飛び出した光電子を増倍していきます。光電子増倍管の内部には、ダイノードと呼ばれる電極が複数段にわたって配置されています。光電面から飛び出した光電子は、まず最初のダイノードに衝突します。すると、ダイノードの表面からは、さらに多くの電子が飛び出す現象(二次電子放出)が起こります。こうして増えた電子は、次のダイノードに衝突し、また電子が増えるという過程を繰り返すことで、最初の光電子は数百万倍から数億倍にも増幅されます。最終的に、増幅された電子は陽極と呼ばれる電極に集められ、電気信号として取り出されます。このようにして、光電子増倍管は、極めて微弱な光であっても、それを電気信号に変換して増幅することで、検出することを可能にしています。