
ALARA原則:原子力発電における安全の要
- ALARA原則とはALARAとは、「合理的に達成可能な限り低く」という意味の「As Low As Reasonably Achievable」の頭文字をとった言葉です。これは、1977年に国際放射線防護委員会(ICRP)が提唱した放射線防護における基本的な考え方です。原子力発電所はもちろん、放射線を取り扱うあらゆる施設において、働く人や近隣に住む人への放射線の影響を最小限に抑えるために、ALARA原則は非常に重要です。放射線は、医療や工業など様々な分野で利用されていますが、その一方で、被ばく量によっては人体に影響を及ぼす可能性も否定できません。そのため、放射線を利用するあらゆる作業においては、被ばくを避けることができない場合でも、可能な限りその量を抑えることが求められます。ALARA原則は、放射線防護の3原則(正当化、最適化、線量限度)のうちの「最適化」を実現するための考え方です。具体的には、放射線防護のために時間、距離、遮蔽の3つの要素を考慮し、作業方法の見直しや防護設備の導入など、様々な対策を講じることで、被ばく量を最小限に抑える努力を継続的に行うことを意味します。ALARA原則は、放射線防護の目標を「達成可能な限り低いレベルを維持すること」と明確に示すことで、関係者の意識向上と行動変容を促す効果があります。これは、安全文化の醸成にも大きく貢献するものであり、放射線業務における安全確保の基盤となる重要な考え方といえます。