水力発電:自然の力を利用したクリーンエネルギー
電力を見直したい
先生、原子力発電について勉強していたら、『水力発電』っていう言葉が出てきたんですけど、原子力発電と関係あるんですか?
電力の研究家
いい質問だね!原子力発電と水力発電は、どちらも発電方法の一種ですが、仕組みは全く違います。原子力発電は原子力の熱で水蒸気を作って発電機を回すのに対し、水力発電は水の力で直接発電機を回します。
電力を見直したい
なるほど!全然違うんですね。でも、なんで原子力発電の説明で水力発電が出てくるんですか?
電力の研究家
それは、電力会社が電気を安定供給するために、原子力や水力など様々な発電方法を組み合わせて使っているからだよ。それぞれの発電方法の特徴を理解することが重要なんだ。
水力発電とは。
「原子力発電」の中で出てくる「水力発電」について説明します。「水力発電」とは、ダムにためた水を高いところから落として、その力で発電機を回し、電気を起こす方法です。電気を起こすだけの「一般水力発電」と、電気が余った時に水をくみ上げて、必要な時にまた発電する「揚水式水力発電」の二種類があります。「一般水力発電」は、電気の量を調整する機能の有無や、調整に使う池の大きさによって、さらに三つに分けられます。水の流れをそのまま利用して、電気の量を調整できない「流れ込み式」、日ごとや週ごとの電気の量を調整できる程度の大きさの池を持つ「調整池式」、とても大きな池で、月ごとや年ごとの電気の量を調整できる「貯水池式」の三つです。調整に使う池が小さいほど、川の水量の変化の影響を受けやすくなります。「揚水式水力発電」は、発電所の近くに、水をためておくための池を二つ(上と下)作ります。そして、夜間や休日など、電気を使う量が少なくなった時に、下の池から上の池へ水をくみ上げます。電気を使う量が増える時間帯になったら、上の池から水を落として発電します。この方法だと、電気の需要の変化を平均化することができます。また、川の水量の影響をほとんど受けないため、安定して電気を供給することができます。なお、上の池に川の水がほとんど流れ込まない場合は「純揚水式」、流れ込む場合は「混合揚水式」と呼びます。
水力発電の仕組み
水力発電は、自然の力を巧みに利用した発電方法です。 高い位置にあるダムに貯められた水は、位置エネルギーという大きな力を秘めています。この水を下流へと導くことで、位置エネルギーが運動エネルギーへと変化します。 ダムには水車を回すための水車発電機が設置されており、流れ落ちる水の勢いで水車が力強く回転します。そして、この水車の回転エネルギーが、発電機を通じて電気エネルギーへと変換されるのです。水力発電は、水の流れという自然のエネルギーを利用するため、燃料を必要とせず、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しません。環境への負荷が非常に小さい発電方法として、地球温暖化防止の観点からも注目されています。また、一度建設されたダムは、適切に維持管理することで、半永久的に発電を続けることが可能です。これは、資源の枯渇が懸念される現代において、大きな利点と言えるでしょう。
特徴 | 説明 |
---|---|
エネルギー源 | 水の位置エネルギー |
発電の仕組み | ダムから水を落とし、水車で発電機を回す |
環境負荷 | 非常に小さい(CO2排出なし) |
持続可能性 | 半永久的に発電可能 |
水力発電の種類
水力発電は、水の持つ位置エネルギーを電気に変換する発電方式です。水力発電所は、大きく「一般水力」と「揚水式水力」の二つに分類されます。
一般水力は、河川や湖沼など自然の水の流れを利用して発電します。この一般水力は、さらに水の利用方法や規模によって、「流れ込み式」「調整池式」「貯水池式」の三つの方式に分けられます。「流れ込み式」は、河川から取り入れた水を直接水車に流し込んで発電する方式で、設備が比較的簡易なため、小規模な発電所によく見られます。「調整池式」は、河川を堰でせき止めて調整池を設け、一定の水量を安定して水車に供給することで発電する方式です。日々の水量変化に対応できるため、中規模の発電所が多く採用しています。「貯水池式」は、大規模なダムを建設して水を貯め、これを利用して発電する方式です。大規模な発電が可能で、電力需要の変動にも柔軟に対応できる点が特徴です。
一方、揚水式水力は、二つの貯水池とポンプを用いて水を循環させることで発電する方式です。電力需要の低い夜間などの時間帯に、下部の貯水池から上部の貯水池へ水を汲み上げておき、電力需要が高まる昼間などに、上部の貯水池から水を落下させて発電します。この方式は、電力の需給バランスを調整する役割を担っており、近年注目されています。
分類 | 特徴 | 方式 | 方式の特徴 |
---|---|---|---|
一般水力(自然の水流) | 河川や湖沼など自然の水の流れを利用して発電 | 流れ込み式 | 河川の水を直接水車へ。小規模発電所向き。 |
調整池式 | 河川を堰でせき止め、一定水量を確保。中規模発電所向き。 | ||
貯水池式 | ダムに水を貯めて発電。大規模発電が可能で、電力需要の変動に対応可能。 | ||
揚水式水力 | 二つの貯水池とポンプを用いて水を循環させ発電 | – | 夜間に水を汲み上げ、昼間に発電。電力需給バランスの調整役。 |
一般水力の3つの方式
– 一般水力の3つの方式水力発電は、水の位置エネルギーを利用して水車を回し、電気を発生させる発電方法です。その中でも、一般水力と呼ばれる発電方式には、大きく分けて3つの方式があります。-# 1. 流れ込み式発電流れ込み式発電は、河川の流れをそのまま利用して発電する、最もシンプルな発電方式です。河川から直接水を取り込み、水車を回転させて発電します。設備が簡易であるため建設コストが低いというメリットがあります。一方で、発電量は河川の水量に直接影響を受けるため、渇水時には発電量が低下するというデメリットもあります。-# 2. 調整池式発電調整池式発電は、日々の水量変化を調整するための調整池を備えた発電方式です。調整池に貯めた水を使い、発電量をある程度コントロールすることができます。日中に電力需要が高まる時間帯には、調整池から水を放流することで発電量を増やし、需要の少ない夜間には水を貯めることで、一定の電力供給を維持することができます。-# 3. 貯水池式発電貯水池式発電は、大規模なダムを建設し、その貯水池に水を貯めて発電する方式です。大規模な貯水池を持つことで、季節的な水量変化にも対応することができ、年間を通して安定した電力供給が可能です。一方で、ダム建設には広大な土地が必要となるため、環境への影響が大きいという側面もあります。このように、一般水力にはそれぞれ異なる特徴を持つ3つの方式があります。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、地域の自然環境や電力需要に応じて、最適な方式が選択されています。
発電方式 | 説明 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
流れ込み式発電 | 河川の流れをそのまま利用して発電する方式。 | 設備が簡易なため建設コストが低い。 | 渇水時には発電量が低下する。 |
調整池式発電 | 調整池を備え、日々の水量変化を調整する方式。 | 調整池から水を放流することで、一定の電力供給を維持できる。 | 貯水池式発電ほどではないが、ダム建設による環境負荷がある。 |
貯水池式発電 | 大規模なダムを建設し、貯水池に水を貯めて発電する方式。 | 年間を通して安定した電力供給が可能。 | ダム建設には広大な土地が必要となるため、環境への影響が大きい。 |
揚水式水力の役割
電力需要は常に一定ではなく、時間帯や季節によって大きく変動します。例えば、日中は工場の稼働や家庭での電力使用が増えるため需要が高まりますが、夜間は一転して需要が低下します。このような電力需要の変動に対応し、安定的に電力を供給するために重要な役割を担っているのが揚水式水力発電です。揚水式水力発電は、電力需要の少ない時間帯に、余剰電力を利用して下部貯水池から上部貯水池へ水をくみ上げておきます。そして、電力需要がピークを迎える時間帯に、上部貯水池に貯めた水を落下させて発電することで、電力不足を補う役割を担います。いわば、電気を水という形で一時的に貯めておく巨大な蓄電池のようなものです。夜間電力など、発電量が需要を上回る時間帯の電力を有効活用できるため、エネルギーの有効利用にもつながります。また、太陽光発電や風力発電など、天候に左右されやすい再生可能エネルギーの導入が進むにつれて、電力系統の安定化という観点からも、揚水式水力発電の重要性はますます高まっています。
時間帯 | 電力需要 | 揚水式水力発電の役割 |
---|---|---|
日中 | 高い (工場稼働, 家庭での電力使用) | 上部貯水池から水を落下させて発電 (電力不足を補う) |
夜間 | 低い | 余剰電力を利用して下部貯水池から上部貯水池へ水をくみ上げ (電気を貯めておく) |
揚水式水力の分類
揚水式水力発電は、電力需要の少ない時間帯に水をくみ上げて上部貯水池に貯めておき、電力需要の高い時間帯に放流して発電するシステムです。このシステムは、まるで巨大な蓄電池のように機能し、電力系統の安定化に大きく貢献しています。
揚水式水力発電所は、大きく分けて「純揚水式」と「混合揚水式」の二つのタイプに分類されます。
「純揚水式」は、その名の通り、上部貯水池に自然に流れ込む水量がほとんどなく、下部貯水池からくみ上げた水を100%使用して発電する方式です。このタイプは、大規模な発電所を建設するのに適しており、電力会社が電力需要のピーク時に対応するために利用することが多いです。
一方、「混合揚水式」は、自然に流れ込む水と、くみ上げた水の両方を利用して発電を行います。 この方式は、上部貯水池に一定量の自然流入がある場合に採用され、純揚水式に比べて、くみ上げに要するエネルギーを節約できるというメリットがあります。そのため、比較的小規模な発電所にも適しており、中小規模の河川にも建設することができます。
このように、揚水式水力発電は、その立地条件や運用方法によって異なるタイプに分類されます。それぞれのタイプの長所と短所を理解し、最適なシステムを構築することが、効率的かつ安定的な電力供給を実現するために重要です。
項目 | 純揚水式 | 混合揚水式 |
---|---|---|
特徴 | 下部貯水池からくみ上げた水を100%使用して発電 | 自然流入水とくみ上げた水の両方を利用して発電 |
メリット | 大規模発電に適している | くみ上げエネルギーの節約が可能 比較的小規模な発電所にも建設可能 |
デメリット | 自然流入水が少ない場合は利用できない | 自然流入量に発電量が左右される場合がある |
用途 | 電力需要のピーク時対応 | 中小規模河川での発電 |