科学の貢献を測る: 計量文献学入門
電力を見直したい
先生、「計量文献学」って、原子力発電の研究でどのように使われているのですか?難しそうな言葉でよく分かりません。
電力の研究家
いい質問ですね。「計量文献学」を簡単に言うと、論文や特許の情報を分析して、研究の成果や影響力を数字で表す方法です。原子力発電の研究でも、世界中でどのくらい研究されているか、どの研究が注目されているかを調べるために使われています。
電力を見直したい
なるほど!例えば、どんな風に数字で表すのですか?
電力の研究家
例えば、ある原子力発電の技術に関する論文が、他の研究者に何回引用されたかを調べます。引用された回数が多いほど、その研究は影響力が大きく、注目されていると判断できます。
計量文献学とは。
「計量文献学」という言葉を原子力発電の分野で使うことがあります。これは、基礎科学の研究が社会や経済にどれくらい役立っているかを数字で表す方法の一つです。この方法では、論文や特許の情報を使います。論文情報には、誰が書いたか(筆頭著者、共同研究者、出身国、所属機関など)、論文の内容(キーワードなど)、掲載された雑誌名、参考文献などが含まれます。特に、参考文献の情報は様々な使い道があり、例えば、その研究成果が他の論文に何回引用されたか(被引用数)を評価する指標として使われています。 データベースとしては、国際的なものとして、IAEAが発行するINISと、イギリスの電気技術者協会が発行するINSPECがあります。INISは原子力に関する情報を広く扱っており、1970年から英語で記録が始まり、約4000誌、約220万件(2002年現在)の論文情報が掲載されています。INSPECは、物理学、電気工学、電子工学、計算機科学といった幅広い分野をカバーし、1969年から英語で記録が始まり、約4000誌、約650万件(2002年現在)の論文情報が掲載されています。日本語のデータベースとしては、独立行政法人科学技術振興機構が発行するJICSTがあり、科学技術全般の文献情報を網羅しています。計量文献学は、情報を統一された基準で数値化できるため、客観的な評価が可能になるという利点があります。
計量文献学とは
– 計量文献学とは計量文献学は、論文や特許といった文献データに統計的な分析手法を用いることで、科学技術研究が社会や経済にどれほどの影響を与えているのかを、数値によって客観的に評価しようとする学問です。近年、科学技術政策の立案や研究機関の評価において、従来の主観的な評価ではなく、より客観的なデータに基づいた判断が求められるようになり、計量文献学への関心が急速に高まっています。具体的には、論文の被引用数や特許の引用関係、論文に記載されたキーワードや研究資金の情報などを分析することで、ある研究分野の成長性や、特定の研究機関や研究者の活動状況、あるいは企業の技術競争力を明らかにすることができます。計量文献学で得られた分析結果は、国の科学技術政策の策定や研究開発投資の効率化、大学や研究機関における研究戦略の立案、企業における新規事業の創出など、様々な場面での意思決定を支援するために活用されています。従来、科学技術の評価は、専門家の経験や勘に基づいた主観的な評価に頼ることが多かったですが、計量文献学は、膨大な量の文献データを分析することで、より客観的で定量的な評価を可能にするという点で、画期的な学問分野と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
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定義 | 計量文献学は、論文や特許といった文献データに統計的な分析手法を用いることで、科学技術研究が社会や経済にどれほどの影響を与えているのかを、数値によって客観的に評価しようとする学問です。 |
背景 | 近年、科学技術政策の立案や研究機関の評価において、従来の主観的な評価ではなく、より客観的なデータに基づいた判断が求められるようになり、計量文献学への関心が急速に高まっています。 |
具体的な分析内容 | 論文の被引用数や特許の引用関係、論文に記載されたキーワードや研究資金の情報などを分析します。 |
分析結果の活用例 |
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効果 |
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計量文献学の意義 | 従来、科学技術の評価は、専門家の経験や勘に基づいた主観的な評価に頼ることが多かったですが、計量文献学は、膨大な量の文献データを分析することで、より客観的で定量的な評価を可能にするという点で、画期的な学問分野と言えるでしょう。 |
論文データの活用
学術研究の動向を数値データに基づいて分析する計量文献学において、論文データは特に重要な役割を担っています。論文データには、著者名、所属機関、論文が掲載された雑誌名、論文中で使用されているキーワード、参考文献リストなど、多岐にわたる情報が含まれています。これらの情報を分析することで、学術界における研究の進展や分野間のつながりを明らかにすることができます。
例えば、ある研究が他の研究者にどれほどの影響を与えたかを評価する指標として、その論文が何回他の論文に引用されたかを示す「被引用数」がよく用いられます。これは、影響力の大きい研究成果は多くの研究者に参照され、その後の研究に活用されるという考えに基づいています。計量文献学では、被引用数以外にも、共著関係や論文のキーワードの一致など、様々な指標を用いて論文データを分析し、学術研究の全体的な傾向や個々の研究の持つ意味を明らかにしていきます。
論文データの構成要素 | 説明 | 計量文献学における利用例 |
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著者名、所属機関、雑誌名 | 論文の基本情報 | 研究機関や雑誌の影響力分析など |
キーワード | 論文の内容を端的 に表す語句 |
研究分野の分類、 分野間の関連性分析など |
参考文献リスト | 論文中で引用された 他の論文の情報 |
被引用数分析、 研究の相互影響分析など |
データベースと分析ツール
– データベースと分析ツール膨大な量の学術論文や研究データを効率的に扱うことは、質の高い研究活動を進める上で非常に重要です。特に、原子力のように広範な分野に関連する研究を行う場合、必要な情報を効率的に収集し分析することは不可欠です。そこで、計量文献学と呼ばれる分野では、文献データを効率的に扱うための様々なデータベースや分析ツールが開発されてきました。国際的には、原子力分野の情報を網羅的に収集した -INIS (国際原子力情報システム)- や、物理学、電気工学など広範な分野をカバーする -INSPEC- などが有名です。これらのデータベースは、論文の書誌情報だけでなく、要約やキーワードなどの詳細な情報も収録しており、研究者は自身の研究テーマに関連する論文を効率的に検索することができます。一方、国内では、独立行政法人科学技術振興機構が運営する -JICST (科学技術情報センター)- が、日本語の科学技術文献データベースとして広く利用されています。JICSTは、自然科学から人文・社会科学まで幅広い分野の文献情報を網羅しており、日本の研究動向を把握する上で欠かせないツールとなっています。これらのデータベースは、単に論文を検索するだけでなく、分析ツールと組み合わせて活用することで、より高度な分析が可能になります。例えば、特定の研究分野における論文数の推移を分析することで、その分野の研究動向を把握することができます。また、主要な研究機関や研究者を分析することで、その分野における研究の中心的な存在を明らかにすることもできます。このように、データベースと分析ツールは、計量文献学において非常に重要な役割を担っており、研究の現状把握や将来予測などに活用されています。
データベース/ツール | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
INIS (国際原子力情報システム) | 原子力分野の情報を網羅的に収集した国際的なデータベース | 論文の書誌情報だけでなく、要約やキーワードなどの詳細な情報も収録 |
INSPEC | 物理学、電気工学など広範な分野をカバーする国際的なデータベース | – |
JICST (科学技術情報センター) | 日本の科学技術文献データベース | 自然科学から人文・社会科学まで幅広い分野の文献情報を網羅 |
計量文献学のメリットと限界
– 計量文献学のメリットと限界
計量文献学は、論文の引用数や掲載誌の影響力といった客観的なデータに基づいて、学術研究の評価を行う手法です。従来の、研究者の主観に頼った評価方法とは異なり、数値化された指標を用いることで、より公平で透明性の高い評価が可能になるという点が、大きなメリットとして挙げられます。
例えば、ある研究分野において、どの論文が他の研究者に多く引用されているかを調べることで、その分野に大きな影響を与えた重要な研究を特定することができます。また、特定の研究機関や研究者の論文がどれだけの頻度で引用されているかを分析することで、その機関や研究者の学術界における貢献度を客観的に評価することができます。
しかし、計量文献学はあくまでも文献データという限られた情報を基にした分析手法であるため、研究の質や社会への影響を完全に反映しているわけではありません。画期的な発見や革新的な理論を提唱した研究は、発表当初は他の研究者に受け入れられず、引用数が少ないこともあります。また、社会に大きな影響を与える研究成果であっても、学術論文として発表されるまでに時間がかかる場合や、論文として発表されない場合もあるため、計量文献学だけでは評価が難しいケースも存在します。
つまり、計量文献学は万能な評価ツールではなく、その限界を認識しておく必要があります。研究を多角的に評価するためには、計量文献学による分析結果だけでなく、専門家による査読や研究内容の質、社会への影響など、他の評価軸も組み合わせて総合的に判断することが重要です。
項目 | 内容 |
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メリット | 論文の引用数や掲載誌の影響力といった客観的なデータに基づいて、学術研究の評価を行うことができる。数値化された指標を用いることで、より公平で透明性の高い評価が可能になる。 |
限界 |
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総合的な評価 | 計量文献学による分析結果だけでなく、専門家による査読や研究内容の質、社会への影響など、他の評価軸も組み合わせて総合的に判断する必要がある。 |